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転用元:http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1304770071/

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:07:51.31 ID:0Q9EtHPP0
ジュン「だーかーらーっ! そこのアイコンの上でダブルクリックっつってんだろ!」

翠星石「怒鳴らなくたっていいじゃないですか!! 翠星石はちゃんとやってるですよ!」

ジュン「だったら、プログラムが立ち上がるはずだ」

翠星石「ええい! このパソコンが悪いのです! ジャンクです!!」

ジュン「道具のせいにすんな! お前のクリックスピードが遅いだけだ。
     ほら、もうちょっと早く二回クリックしろ。本気出せ」

翠星石「ぬぁあああ! そこまで言うのならバリバリ全力でやってやるです!
     愛と勇気と悲しみのぉぉぉ! ダァブルクリィィィィィーーーーック!!」カチッカチッ

ジュン「ファイルの名前の変更になってるじゃねーか。まだまだスピードおせーよ」

翠星石「なんですとぉーー!」


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:10:00.73 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「音速の貴婦人の異名を持つ翠星石の超スピードを以ってしても
     ダブルクリックが為されないとは……!
     パソコンを扱う人間の指の速度は光速の領域!? スターフィンガーですか!?」

ジュン「んな異名は聞いた事ねーよ。つーか、お前は指を大きく動かしすぎなんだ。
     ダブルクリックに力は要らないんだから……ほら、ちょっと上から失礼させてもらうぞ」

翠星石「え? あ、な!? 翠星石の手ごとマウスを握って!? な、何するですか!?」

ジュン「二人羽織りの要領でダブルクリックを教えてやる。一回で覚えろよ?」

翠星石「……は、はいです」






4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:12:02.68 ID:0Q9EtHPP0
雛苺「ねぇ真紅? 翠星石はジュンと何をやってるの?」

真紅「パソコンの使い方を教えてもらってるのよ」

雛苺「どうしてぇ?」

真紅「くんくんオフィシャルサイトで今までの放送内容のあらすじをチェックしたいんですって」

雛苺「うゅ!? 今までのくんくんの内容が全部分かるの!?
    だったらヒナも知りたい! 知りた~い!」

真紅「じゃあ、翠星石のあとにでもジュンに頼みなさい雛苺」

雛苺「うぃ! あれ? え~と……真紅は? くんくんのあらすじ知りたくないの?」

真紅「今までの放送内容と次回予告は全て頭に入ってるから必要ないのだわ」

雛苺「さすがなのね」


5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:13:43.47 ID:0Q9EtHPP0
ジュン「ひぎゃぁあああああああああ!!」

翠星石「……あ、スマンですぅ」

真紅「どうしたのジュン? イボイノシシみたいな悲鳴あげて?」

ジュン「こ、この性悪人形……指搦み(※)かましやがった!!」



※指搦み
骨子術(人体の経路を利用した技法)の一つ。
手のひらのツボを圧迫し、相手の動きを封じたり激痛を与えたりする。
足ツボマッサージを手に施すようなもの。


6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:16:17.70 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「いや、絶好のチャンスだったものですから……つ、つい」

ジュン「つい……じゃねーよ!! 人に教えを乞うていながら
     その態度は何だ!! この馬鹿!」

翠星石「ば、馬鹿とはなんですか!! チビ人間が吉良吉影みたいに
     いやらしい手つきで翠星石の手指をいじくるからです!」

ジュン「ふざけんな! ダブルクリック教えてあげようとしてただけだろ!! もう怒った!
     お前なんかにパソコンの使い方なんか金輪際教えてやるもんか!!」

翠星石「!? ……い、いいですよ! もう! チビ人間みたいな
     ケツの穴もチビチビな野郎に教わる気も、こっちにはさらさら無いです!!」

ジュン「言ったな! 謝るなら今のうちだぞ! 本当の本当に教えてやらないからな!?」

翠星石「教えてもらわなくてケッコー毛だらけ猫灰だらけ! 尻の周りはクソだらけですぅ!!」ダッ

ジュン「あ!? ちょ、おま、どこ行く気だ!!」


7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:18:44.96 ID:0Q9EtHPP0
ジュン「……たく、翠星石の奴」

真紅「困った子ね。蒼星石に愚痴りに行ったんでしょうけど……」

ジュン「しょうがない、あとで結菱さんところに電話してみるか」

真紅「どうせお腹が減ったら帰ってくるわよ」

ジュン「それもそうだな」

雛苺「ねぇ! ジュン!」

ジュン「?」

雛苺「翠星石の代わりにヒナにパソコンを教えてほしいの!!」

ジュン「……お前が、パソコンを?」

雛苺「ねぇ~、おねが~い! ヒナは翠星石みたいに、いぢわるしないからぁ!!」

ジュン「わ、分かったよ」

雛苺「やったぁ~」

真紅「よかったわね雛苺」

ジュン(正直、翠星石相手に教えるより不安だが……)


9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:20:49.69 ID:0Q9EtHPP0
☆一方その頃の薔薇屋敷(結菱邸)では……

結菱「え~と、確かこのあたりに……」ガサゴソ

蒼星石「あれ? こんなところ(物置部屋)にいたんですかマスター? 何か探し物でも?」

結菱「ああ、蒼星石か。うむ、写真をな……探しているんだが」

蒼星石「写真? 僕も手伝いますよ。どんな写真です?」

結菱「弟(二葉)の写っているやつだ」

蒼星石「……二葉さんの」


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:23:19.18 ID:0Q9EtHPP0
結菱「恥ずかしい話だが、二葉の写真は私がほとんど捨ててしまっていてね。
    一枚でも処分し忘れているものがあればいいんだが……」

蒼星石「……」

結菱「情けない男と思うか、私を? 今さら弟との思い出を探そうなどと」

蒼星石「いえ……」

結菱「……では、すまないが蒼星石は、そこの箱の中身を調べてくれ。
    アルバムがいくつか入っているはずだ」

蒼星石「はい」ガサゴソ


11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:26:12.88 ID:0Q9EtHPP0
蒼星石「あ!」

結菱「見つけたか?」

蒼星石「いえ、これが……アルバムの中に」



┏━━━━━━━━━━━┯
┃        / ̄ ̄\    く
┃      /  ヽ_  .\  ゝ
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┃   _,,二) 一葉 /       二葉   〔―ヽ、人,,r、__
┃   >_,フ      /                }二 コ \.  Li\_,
┃__,,,i‐ノ     l              └―イ   ヽ |   ┃
┃            l                   i   ヽl   ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

○年△月×日 弟と 城の崎にて    


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:29:04.83 ID:0Q9EtHPP0
結菱「昔の私も念入りなことだ。我ながら背筋が凍る」

蒼星石「あの……二葉さん太ってた時期があったんですか?」

結菱「いや、遠近法だ。しかし、わざわざ二葉の部分だけ破り捨てていたとは……
    この分では弟の写っている写真は残っていそうにないな」

蒼星石「そんな、まだ全部を探したわけじゃ……」

結菱「だが、本格的に物置部屋全てを調べるとなると二人だけでは人手が……」



♪チンコーン



蒼星石「呼び鈴の音だ」

結菱「来客か?」



*『おお~い!? 蒼星石ー? おじじー? いないですかぁーーっ!?』



結菱「あの声は……」

蒼星石「人手が増えましたねマスター」


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:31:05.76 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「聞いてくれですよ! もう、チビ人間ったらひどいんです!!」

蒼星石「うんうん、ちゃんと聞いてるから。翠星石もちゃんと探してね」

翠星石「分かってるですよ! 二葉の写ってる写真ですよね」ガサゴソ

結菱「すまんな。せっかく来てくれたのに手伝わせてしまって」

翠星石「まったくです! でも翠星石は心が広いからクッキーとお茶で許して上げるで~す」

結菱「ははは、この間いい茶葉が手に入ったから振舞おう」

翠星石「やりぃ! です!」

蒼星石「……ジュン君に対しても、それぐらい心が広ければ上手くいっただろうに」

翠星石「何か言ったですか、蒼星石?」

蒼星石「いや、何も」


14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:32:36.69 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「お!? とかなんとかやってるうちに写真発見ですぅ」

蒼星石「え? もう!? 本当かい?」

翠星石「ほれ、ばっちり二葉が写ってるですよ」ぴらっ

結菱「翠星石、その写真は私の写真だ」

翠星石「えぇ!? でも、写ってる人は全然おじじじゃないですよ!! ピチピチのイケメンですぅ!!」

結菱「いや、私とて産まれた時からジジイだったワケではないんだが……」

翠星石「あ!」

蒼星石「あ! じゃないよ翠星石。僕達と違って人間は赤ちゃんから成長するんだから」

翠星石「う、うっかりしてたです……」


15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:35:34.07 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「しっかし、これじゃあヤングおじじと二葉の見分けがつかんですぅよ」

蒼星石「そうかい? 双子だからって何か何まで同じわけじゃない。
     写真うつりでも、どこか違うところぐらいあるだろうさ」

翠星石「むむむ……」

結菱「まあ、それっぽい写真が見つかれば私が確認するから」

蒼星石「あ、はい。もちろん、そのつもりです」

翠星石「そうですね。そうするのが一番です」



☆一方その頃の雛苺はトリプルクリックをマスターしていた……

雛苺「すごいの! 一気に全てを選択できるの! 支配者の力なのよ~!!」

ジュン「使い所あんまり無いけどな」


16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:37:46.95 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「おお!? これは何です!?」

結菱「漬物石だ」

翠星石「つ、漬物石!? こんなピカピカで美しい漬物石は見たことないです」

蒼星石「これ、ひょっとして大理石製じゃ」

結菱「その通りだ」

翠星石「はー、大理石ですか。道理で……ただの漬物石とは思えない風格です。
     翠星石と蒼星石とこの石が実は三つ子だと言い張っても金糸雀ぐらいなら騙せそうですぅ」

蒼星石「そんなアホな。でも、大理石は酸に弱いから
     漬物石としては使いにくいんじゃないですか、マスター?」

結菱「そうだろうな。ただのインテリアだよ」

翠星石「かーっ、成金の趣味はワケ分からんです。あ、じゃあ、こっちのは何です?」

結菱「ああ、それはメノラー(七枝燭台)だ」

翠星石「メノラー?」


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:39:50.15 ID:0Q9EtHPP0
蒼星石「蝋燭立てだよ。ユダヤ教の象徴的存在で、安息日なんかによく使われたらしい」

翠星石「ほへぇ~。蒼星石は何でもよく知っているですね」

蒼星石「しかも、このメノラー……ひょっとして純銀製ですか?」

結菱「ああ、そうだが」

翠星石「銀!? てことは結構なお値打ち物ですか?」

蒼星石「彫刻細工もしっかりしている。ひょっとしたら、ン百万……」

翠星石「こ、これ! 開運なんでも鑑定団に出してみてもいいですか!?」

蒼星石「あの、翠星石……そんなことより写真を。さっきから全然関係ないものばかり……」

翠星石「へ!? あ……! いやですねぇ、もう! ちゃんと探しているですよ、翠星石は!」

蒼星石「なら、いいんだけど」

翠星石(くぅうう~、チビ人間の家の物置とは格が違うです、格が。
     翠星石の好奇心をがっちり掴んで離さない逸品が目白押しですぅ)


18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:41:46.79 ID:0Q9EtHPP0
蒼星石「いけない。翠星石の注意が完全に写真以外に行っちゃってる。
     マスター、ここは僕達だけでもしっかりしないと……」

結菱「ん、ああ、そうだな……」←座り込んで古本を読んでる

蒼星石「大掃除の時とかで一番駄目な態勢に入っちゃってるーーっ!?」

翠星石「おぉーい、変な形のツボ見つけたですぅ。これもお値打ち物なんですか?」

結菱「なかなか目が高いな翠星石。それは北宋だ」

翠星石「ホクソウ?」

結菱「いい物だよ、それは」

蒼星石「駄目だ。二人とも当初の目的を忘れている。僕だけでもしっかりしないと」



☆一方その頃の雛苺はブラインドタッチをマスターしていた……

雛苺「くんくん探偵……と」カタカタ

ジュン「お前、漢字は書けないのにローマ字入力だと出来るんだな」

真紅「人間だって、そんなものでしょ?」


19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:44:54.24 ID:0Q9EtHPP0
蒼星石「確か、こっちの方はまだ探していないはず……ッ!? これは!?」



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蒼星石「鎧兜!? いや、人形……そうか。五月人形か、これは!?」

結菱「ここにいたのか蒼星石? 確かにそれは私の五月人形だ」

翠星石「すっげー強そうですね。からくり武者ですか?」

蒼星石「マスター、翠星石」


21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:48:49.08 ID:0Q9EtHPP0
結菱「ローゼンメイデンとは違って、自分から動きだしたりはせんよ」

翠星石「そうですか、だったら翠星石が動かしてみてもいいですか?」

結菱「?」

翠星石「あ、忘れ去られがちですが、ローゼンメイデンは
     他の人形やぬいぐるみを操って動かすことが出来るのです」

結菱「そう言えばそうだったか」

翠星石「ただまあ、これぐらい大きくて重いものを動かすとなると……
     パワーをかなり使うことになるですから、下手すると
     チビ人間の存在まで食い殺すことになるかもしれんですが、ま、物は試しですぅ」

蒼星石「お試しでジュン君消滅させられたら堪ったもんじゃないよ」

結菱「またの機会にお願いする、翠星石」

翠星石「ちぇ~」


22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:50:41.04 ID:0Q9EtHPP0
蒼星石「それにしても立派な五月人形だ。結構な人形師が手がけたものと見える」

翠星石「サイズも翠星石達より一回り大きいぐらいですね」

結菱「……」

蒼星石「あれ? でも、この……兜のところ片方の角が折れてる」

結菱「ああ、それは」

蒼星石「元々このようなデザインで?」

結菱「いや、子供の頃の私がふざけて、この鎧兜を付けて遊んでいたら……な」

翠星石「あらら、おじじも意外とヤンチャだったのですね」

結菱「ふふ、あの時は随分と親に怒られたものだな。
    人形はお前達子供の身代わりになるために大切な鎧をつけている。
    なのに、その鎧を、守られているお前が壊してしまうとは何事だ! とな」

蒼星石「値段が高いから……じゃないんですね」

結菱「ああ、そういう両親だった」

翠星石「……」


23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:52:54.74 ID:0Q9EtHPP0
結菱「実はこの人形は、本当はもう一体あった。私の分と二葉の分だ」

蒼星石「あった? 今は無いんですか?」

結菱「私が人形を壊して両親にしかられているのを、二葉は可哀想だと思ったのだろう。
    彼はもう一体の人形を……売った」

翠星石「う、売りとばしたぁ!?」

結菱「父さん、母さん怒ってなぁ……」

蒼星石「そりゃ怒るよ!!」

結菱「でも、これで兄さんばかりが怒られずに済むよ……て、あいつは笑ってた」

翠星石「き、気持ちは分かるですが、子供の頃から随分とぶっ飛んだ弟です」

蒼星石「それぐらいの度胸があれば外国への駆け落ちもなんのそのだよね」

結菱「私にも弟の十分の一ぐらい度胸があったらな……」

翠星石「おじじ」

蒼星石「マスター」


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:55:28.59 ID:0Q9EtHPP0
結菱「ん? いや、そうか! 確か!!」ガチャガチャ

蒼星石「え? どうしたんですマスター!? その人形を何処かに運ぶので?」

結菱「違う。私と二葉が説教の続きで二人並んで外に立たされていた時
    両親は使用人に私達の写真を撮らせていたんだ。
    そして二度とこの人形に私達が悪さしないようにと、その写真を……」

翠星石「この人形に託した?」

結菱「そうだ。また鎧を外して着ようとしたら写真が出てきて
    恥ずかしい思いをするぞ……と脅されたのを確かに覚えている!!」

蒼星石「じゃあ、この人形から鎧を剥がしていけば」

結菱「ああ、どこかからか私達兄弟が写った写真が出てくるはずだ!」

翠星石「よっしゃ! 翠星石もお手伝いするですよ!!」ガチャガチャ

蒼星石「翠星石、そんなに手荒に外しちゃ駄目だよ。
     ちゃんと、あとで元通りにすることを考えないとかないと」

翠星石「……う」


25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 21:57:30.15 ID:0Q9EtHPP0
結菱「うむ。闇雲に取っていくと戻せなくなる。外した鎧などを
    しっかり配置を忘れずに置いていく方法は……」

翠星石「おじじ! おじじ!」くいくい

結菱「? 何か思いついたのかね翠星石?」

翠星石「ほれ、あそこに丁度いい鎧掛けが」

結菱「……なるほど」

蒼星石「……え? まさか僕に!?」



☆一方その頃の雛苺は検索履歴の消し方をマスターしていた……

雛苺「くんくん探偵から逆探知されないように証拠を消すの!」

ジュン「前提がおかしいが、覚えといて損は無い」

真紅「ジュンも、のりが一時的にパソコンを使う前には必ず検索履歴消してるものね」

ジュン「……見てたのか」


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:01:27.33 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「……鎧は全部外せたですが、写真がどこからも出てこないですよぉ?」

結菱「まさか、嘘だったのか? しかし、写真は確かに撮られていたはず」

FA蒼星石「全部つけるとちょっと重い……」ふらふら

翠星石「もうちょっとの我慢です」

FA蒼星石「う、うん」

結菱「……」

翠星石「何をしゃがみ込んでいるです、おじじ? もう、腰にきたんですか?
     折角、蒼星石がフルアーマー(FA)化に耐えているというのに!」

結菱「いや、これだ。鎧兜を外している時に落ちてきた紙くず達……」

FA蒼星石「?」

結菱「クッション材か何かだと思っていたが、この中に写真の切れ端も混じっている」

翠星石「ええっ!?」


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:03:21.52 ID:0Q9EtHPP0
FA蒼星石「まさか、長い年月の間に!?」

結菱「何度かこの五月人形を動かしたりもしたからな。変に負荷がかかって
    写真が破れて、バラバラになってしまったんだろう……これでは……」

FA蒼星石「ま、待ってくださいマスター! あきらめるのは早すぎます」

結菱「しかし」

翠星石「そうです。それに、執念深いのがおじじの数少ない取り柄だったはずです。
     確かに写真はバラバラですが、それを繋ぎ合わせればいいだけの話です」

結菱「……できるのか、そんなことが?
    劣化が激しすぎてセロテープで張り合わせるのも無理そうだが」

FA蒼星石「はい。真紅が逆巻の懐中時計を持っていますから」

結菱「逆巻の懐中時計?」

翠星石「翠星石達の手に負えないものでも、時間を巻き戻すことが出来る優れものの時計ですぅ」


29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:05:24.46 ID:0Q9EtHPP0
FA蒼星石「よし、善は急げだ。この鎧兜を人形に戻したら
       写真の細切れを全部持ってジュン君の家に行こう!」

翠星石「あ、もう鎧脱いじゃうんですか、蒼星石?」

FA蒼星石「だって写真は見つかったからもういいでしょ? 重いし」

翠星石「正直、フルアーマー蒼星石が似合いすぎているので
     真紅達にも見せてあげて欲しいと思う今日この頃なのですが……」

FA蒼星石「似合ってる? 僕が? そうなんですか、マスター?」

結菱「うむ。こち亀の大原部長か、らんま1/2の天道パパに比肩する見栄えだぞ」

FA蒼星石「マ、マスターがそう言うのなら、もうちょっとこの格好でいようかな……」もじもじ

翠星石(うーむ、意外と蒼星石もマスターに対しては、ぶりっ子ですねぇ)


31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:08:05.47 ID:0Q9EtHPP0
真紅「無理、なのだわ」きっぱり

翠星石「ほぁああああああああーーーーっ!? おじじと蒼星石が
     こうして頭を下げているのに無下に断わるたぁ、どーゆー了見ですかぁ!?」

FA蒼星石「落ち着いて翠星石」

雛苺「クールになってなの」

結菱「何か理由があるのだろう。何故、無理なんだ真紅?」

真紅「先ず、巻き戻す時間が長大であること。
    次に、その写真に込められた想いが強力すぎること」

ジュン「古すぎて駄目ってのは、なんとなく分かるが、想いが強いと駄目ってのはどういうことだ?」

真紅「想いは、人間にとってもローゼンメイデンにとっても強い力。
    それは自らの助けともなるし、枷ともなる」

翠星石「ワケのわからん難癖つけてると
     フルアーマー蒼星石の蜻蛉切による無双三段が飛ぶですよ真紅」

真紅「……あまりにもナチュラルすぎて気付くのが遅れたけど
    蒼星石が鎧を着込んでいるのは私を脅すため?」

結菱「いや、見せびらかすためだ」

FA蒼星石「その通りですけど、そんなはっきり言わなくても……」


32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:12:35.72 ID:0Q9EtHPP0
真紅「兎も角、その写真の時間を巻き戻すのには危険が伴う。
    私達の力が、その写真に宿る力に負ければ、ただでは済まない」

雛苺「どうなるの?」

真紅「運が良ければ、細切れだった写真が今度は完全に砕け散って塵となる」

FA蒼星石「運が悪ければ?」

真紅「逆巻の時計が砕け散る。最悪、私もバラバラになる」

翠星石「マ、マジですか!?」

真紅「ええ、そうよ。本気と書いてマジと読む。私に嘘偽りは無い。
    ただでさえ、人物の絵画や写真には心が宿りやすいというのに
    それが思い出の古写真となれば尚更」

結菱「写真とは言え、ただの紙切れだぞ。
    これにローゼンメイデンが本当にパワー負けするのかね?」

真紅「神ですらチェーンソーによってバラバラにされるのが今の時代よ。
    何度も言うようだけど、人間の想いというのは人間自身が思う以上に強い影響力を持つの。
    特に私達のような存在に対してはね」

FA蒼星石「確かに……真紅の言うとおりだろう」

結菱「……そうか。無理を言ってすまなかったな真紅、桜田君」

ジュン「結菱さん」


33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:14:54.81 ID:0Q9EtHPP0
結菱「失礼する」すっ

FA蒼星石「マスター……」

真紅「待ちなさい」

結菱「?」

真紅「私には無理よ。でも」

結菱「でも?」

真紅「雛苺には出来る」

雛苺「ふぇ?」

翠星石「はぁああああああああ!? 正気ですか!?
     どーして翠星石や真紅に出来ない事がチビ苺に可能なのですか!?」

真紅「……」

結菱「本当なのかね? いや、雛苺を疑う訳じゃあないんだが」

FA蒼星石「僕も理由を聞きたい。ローゼンメイデンが出来ることはみんな同じはず。
       何故、雛苺だけに写真の修復が可能なのか……」

真紅「当然の質問ね。もちろん、私達も時間と訓練を積めば写真の修復は可能になる。
    正確に言えば、いますぐにでも写真の修復を始められるのは雛苺だけ、というわけなのだわ」

翠星石「ますます意味が分からんですぅ」


34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:18:34.90 ID:0Q9EtHPP0
真紅「翠星石、あなたが薔薇屋敷に行っている間に
    雛苺は恐ろしい速度でパソコン技能を修得していったの」

翠星石「は? チビ苺が……パソコンを、ですか?」

雛苺「えっへん!」ふんぞりかえりっ

ジュン「教えた僕も正直、驚愕」

結菱「しかし、パソコンで写真の修復なんて出来るのかね」

ジュン「正確に言えば修復では無いのかもしれませんが
     バラバラになった写真の画像をスキャナで取り込んで
     コンピューター上で合成、繋ぎ合わせることができるんですよ」

結菱「さ、最近のパソコンとはそんなことも出来るのかね? ハリウッド並ではないか!」

FA蒼星石「すごい……!」

ジュン「お、驚きすぎですよ。しかし、それをするためには画像編集用のソフトウェアと
     それをある程度使える技能が必要です」

真紅「そして、ジュンはせいぜい下手なアイコラを作るのが関の山だけど
    雛苺は既に独学でWeb上の技術を吸収、超ハイレベルなお絵かき遊びに到っている。
    しぶちんのジュンですら、速攻で雛苺の為にペンタブを発注したのだわ」

雛苺「えぇっへんなのぉ!!」ふんぞりかえりっ

FA蒼星石「それ以上ふんぞり返るとハンブラビのMA形態みたいになるよ雛苺」


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:21:33.32 ID:0Q9EtHPP0
結菱「難しいことまでは私には分からないが、お願いできるんだな」

真紅「ええ。いいわよね、雛苺?」

雛苺「もちろん! まっかせてなの!! あ、でもね、ヒナのお願いも聞いて欲しい~!」

翠星石「っ!? 見返りを求める気ですか? チビ苺の癖にしっかりしているですね」

結菱「私にできることなら何でもする」

雛苺「ヒナも蒼星石がつけてるヨロイが着てみたいのよ!」

FA蒼星石「着てみたい? この鎧を?」

雛苺「うん! だめぇ?」

FA蒼星石「マ、マスター……」

結菱「駄目なわけないだろう。この鎧でよければ、いつでも何度でも好きなだけ着て構わんよ、雛苺」

雛苺「やったぁ!!」

ジュン「あとは、画像を取り込むスキャナと出来上がった写真を印刷するプリンターが必要だな。
     どっちも、みっちゃんさんが持ってたはずだから理由を話して協力してもらおう」


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:26:02.27 ID:0Q9EtHPP0
☆その日の夜……

雛苺「画像の合成できたのよ!!」

ジュン「本当か!? 思ったより早く出来上がったな」

真紅「今日中に完成にこぎつけられるとは、私も思ってなかったのだわ」

翠星石「す、翠星石はずっとチビ苺の隣でパソコン上の作業を眺めていたですが……
     まるで魔法でも見ているかのような気分だったです」

真紅「科学、まさに現代の魔法ね。
    神ですらチェーンソーという科学の力の前には砕け散る」

ジュン「それ、昼にも聞いたぞ」

真紅「大切なことなので二回言いました」

ジュン「ああ、そう」


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:27:21.76 ID:0Q9EtHPP0
雛苺「ジグソーパズルみたいで面白かったのよ」

翠星石「あとは印刷するだけですね」

真紅「印刷はみっちゃんさんの家でする手筈になっているから、続きは明日にしましょう」

雛苺「うぃ!」

翠星石「しっかしまぁ、この写真に写ってる半ベソのガキ二人が
     本当におじじとその弟ですかぁ!?」

ジュン「確かに今のイメージとは随分違うが……面影はある」

真紅「仲の良さそうな兄弟じゃない」

雛苺「……フシギなのね」

ジュン「不思議?」


38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:29:15.19 ID:0Q9EtHPP0
雛苺「だって、写真の中の男の子は今のおじいちゃんと比べてすごく小っちゃいの!」

ジュン「小学生低学年か、その少し上って感じだな。小学校がある時代かは知らんが」

雛苺「ジュンも、昔は今よりも小さかったの?」

ジュン「今よりも、は余計だ。……人間ってのは誰だって最初は小さいんだ」

雛苺「どれぐらい? ヒナと同じくらい?」

ジュン「もっとだ」

雛苺「もっと? ネコさんぐらい?」

真紅「いいえ、もっとよ。アリさんよりも小さかった。
    生命あるもののスタート地点は……目に見えないほど小さなところから始まるのだわ」


39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:31:07.03 ID:0Q9EtHPP0
雛苺「そんなに小さいの!? じゃあ、どうやって大きくなれたの!
    ヒナも大きくなりたい!!」

翠星石「チビ苺……」

真紅「残念ながら私達は大きくなれないのよ雛苺」

雛苺「えぇ~!?」

真紅「例外があるとすれば、それはアリスでしょうけど、この話はまたの機会にしておきましょう。
    ただ、人間は成長する生き物だけど、私達は成長しない人形。
    このことだけはしっかり覚えておいて頂戴、雛苺」

雛苺「むぅ~」

ジュン「……」


40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:31:53.75 ID:0Q9EtHPP0
雛苺「それじゃあジュンものりもトゥモエも、いつかはおじいちゃんになっちゃうの」

ジュン「常識的に考えてそうだな。のりや柏葉はおじいちゃんじゃなくておばあちゃんだけど」

雛苺「ジュンはおじいちゃんになったら次は何になるの?」

ジュン「何……て?」

雛苺「だから、おじいちゃんの次! おじいちゃんの次は人間はどうなるの?」

ジュン「それは、その」

翠星石「……」

雛苺「うゅ? 分からないの?」


41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:33:30.09 ID:0Q9EtHPP0
真紅「死ぬのよ」

ジュン「……真紅」

雛苺「死ぬ? 動かなくなるの?」

真紅「ええ、そう。生命の薇が切れる。そしてもう二度と動かない」

雛苺「どうしてぇ!?」

真紅「どうしてでしょうね。それは私にも分からないのだわ」

雛苺「じゃあ、蒼星石のおじいちゃんはもうすぐ死ぬの?」

翠星石「話が極端すぎるですよチビ苺! おじじはまだまだ死なないです!」

雛苺「お、怒っちゃヤなのよ……」

翠星石「べ、別に怒ってはいないですよ。ただ」

真紅「……私達の感覚からすれば、結菱一葉はもうすぐ死ぬといっても差し支えは無いのかもしれない」

雛苺「?」

翠星石「し、真紅まで」

ジュン「……」


42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:34:45.43 ID:0Q9EtHPP0
真紅「結菱一葉だけじゃない。ジュンも、のりも、人間はみんな私達よりもすぐに死んでいく。
    それは分かるわよね? 雛苺、あなただって多くの人間と関わって生きてきたはず」

雛苺「……コリンヌ?」

真紅「そうね。コリンヌ・フォッセーがいたわね」

ジュン「……」

真紅「人間はすぐ死ぬ。いつか死ぬ。それもおじいちゃんになってからとも限らない。
    理不尽なことで明日、いきなり死ぬかもしれない。
    それでも……いえ、だからこそ想い出を大切に、明日を一生懸命生きるのよ」

翠星石「想い出……だから、おじじは写真を?」

真紅「そうかもしれない」


43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:37:28.32 ID:0Q9EtHPP0
ジュン「いつか死ぬから明日を一生懸命に……か。陳腐だけど耳が痛い言葉だよな」

真紅「陳腐なのは当然よ。人間はとうの昔に生きる意味を見つけているのだわ。
    だけど、それを実感するためには長い時間を生きなければならない。逆説的だけどね」

ジュン「?」

真紅「ある日ふと、生きる意味に気付いてもらう。
    そのために常日頃から他人に対して言葉を送る人は昔からいる。
    詩人、音楽家、映画監督、小説家、漫画家あるいは政治家……」

ジュン「難しい話になってきたな」

真紅「ええ、そうよ。生きることは難しい。けど人間はその難問に対する答えを持っている。
    人間の何倍も生きていながら、アリスゲームで戦うことだけが
    生きる意味だと妄信してきた私達は……情けないわね」

翠星石「……真紅」

真紅「こんなこと言う私は、らしくないかしら? 翠星石」

翠星石「いや、そういうこっちゃなくてですね、チビチビが寝ちゃってるです」

真紅「え!?」

雛苺「……zZZ」

真紅「く……! 自分から話をふっておきながら」

ジュン「こいつにしては、かなり夜更かししてたしな」


44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:40:09.70 ID:0Q9EtHPP0
真紅「でも、一番疲れているのも雛苺よね。今日一日、ずっとパソコンの前で作業していたし」

翠星石「くああああ……翠星石も、もう眠たいです」

ジュン「おい、寝るなら自分の鞄で寝ろよ。お前は雛苺みたいに運んであげたりしないからな」

翠星石「へいへい、分かってるですよ……と」

真紅「私も、もう寝るのだわ」

翠星石「あ、そうです真紅」

真紅「?」

翠星石「え~と、明日みんなでみっちゃんさんの家に行く時に
     蒼星石と……水銀燈達も呼んでやっていいですか?」

真紅「いいけど? どうしてまた?」


45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/05/07(土) 22:43:32.65 ID:0Q9EtHPP0
翠星石「みんなで写真を……みっちゃんさんに撮ってもらおうと思うんですが」

真紅「翠星石……」

翠星石「ええと、必要……ないですか? やっぱり、いつまでも成長しない私達人形には……」

真紅「いえ、それはいいアイデアね」

ジュン「……」

真紅「今日まで変わらなかったからといって、明日も変わらないとは限らないのだわ」

翠星石「は、はいです!」

ジュン「……確かに、真紅の言うことも、その日その日でコロコロ変わるしな」

真紅「ジュン、一言多い」

ジュン「すいませんでした」





結菱一葉、軌跡の一枚。『完』











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2014/04/29 21:29 未分類 TB(-) CM(-)
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